「あとがき」に注目
文庫化にあたりという2020年3月に書かれたコロナウイルスの予見として、その後に起こったコロナ禍の今がしっかりと書かれていたのに驚いた。
本編は主人公が医者二人でヴァンのような武人の活躍は全く出てこないので期待外れと言えなくもないが、ラストにかけてはしっかりと政治劇のような盛り上がりを見せてくれる。そして、予期しなかった「あとがき」で驚嘆を呼ぶ。
鹿の王全4巻のほうでは、ちょっとした感染症が背景にあって、コロナ禍に読み返した時には以前と違った感触を受けたものだが、水底の橋ではその医療系の話が掘り下げられて、最後の後のあとがきで、現在につながるところが実に面白い。